サイディングのメンテナンスに必要な費用や劣化のサイン・リスクを解説
2025.09.07 (Sun) 更新
サイディング外壁は見た目の美しさと機能性を兼ね備えた人気の外装材ですが、決して「メンテナンスフリー」ではありません。
紫外線や雨風にさらされることで、時間とともに塗膜やコーキングが劣化します。
適切な時期にメンテナンスを行わなければ、外壁内部にまで影響が及ぶこともあるので注意が必要です。
本記事では、サイディングのメンテナンスにかかる費用相場や放置することで発生するリスクまで、メンテナンスに必要な情報をわかりやすく解説します。
これからリフォームを検討している方も、今の状態をチェックしておきたい方も、ぜひ参考にしてください。
目次
サイディングのメンテナンス方法と費用相場
年数が経過するにつれて、サイディングにはさまざまな劣化が現れます。
劣化を放っておくとより大きな被害につながりかねないため、早急なメンテナンスが必要です。
代表的なサイディングのメンテナンス方法と、それぞれの費用相場を確認していきます。
外壁塗装
外壁塗装は、サイディングの美観や防水性を維持するために欠かせないメンテナンスです。
紫外線や風雨の影響により、経年劣化が進むと塗膜が剥がれ、防水機能が低下してしまいます。
一般的には8〜10年を目安に点検・塗り替えを検討することが望ましいです。
塗装費用の相場は30坪ほどの住宅の場合、おおよそ70〜110万円程度とされています。
※上記費用に加えて諸経費が発生します。
塗料の種類や下地処理の状況によって、実際の金額は変動するため注意が必要です。
コーキング打ち替え
サイディングの目地に使用されているコーキング材は、雨風や紫外線の影響で徐々に劣化していきます。
劣化が進むとひび割れや収縮が起こり、そこから雨水が浸入して外壁材を傷める原因になります。
費用の目安は1メートルあたり700〜1,200円程度です。
張り替え・重ね張り
外壁材の劣化が進んで塗装やコーキングだけでは補えない場合には、張り替えや重ね張りといった工事が必要になります。
軽微な損傷であれば、部分的な張り替えで済むこともあり、その場合の費用は10〜60万円程度が目安です。
一方で、広範囲に劣化が進んでいる場合は外壁全体の張り替えとなり、60〜300万円ほどの費用がかかることもあります。
既存の外壁の上から新たにサイディングを施工する「重ね張り」も選択肢の一つです。
重ね張りは60〜220万円と比較的コストを抑えられる一方、窯業系サイディングでは重量の関係から不向きな場合もあります。
修理する範囲や採用する工法、建材などにより費用は大きく変わってくるため、施工前の専門業者による確認が重要です。
サイディングのメンテナンスを怠ると発生するリスクとは
サイディングの劣化を放置してしまうと、外壁材だけでなく建物の内部構造にまで影響が及び、大規模な修繕工事が必要になる可能性があります。
この章では、メンテナンスを怠ることで起こり得るリスクについて解説します。
壁内の木材などが劣化し腐食する
外壁から浸入した雨水は、内部の柱や梁といった木部にまで到達し、腐食を引き起こします。
一度木材が腐ってしまうと、その部分だけの補修では済まず、周囲の構造まで影響が及びます。
壁や床の内部にまで被害が拡大するケースもあり、広範囲な修繕が必要となる場合もあるので注意が必要です。
シロアリが発生する
湿気がこもった状態の木材は、シロアリの絶好の棲みかとなります。
シロアリによって柱などの構造材が被害を受けると、建物全体の強度が落ち、大規模な修繕へと発展しかねません。
修繕費に加えて防除工事が発生することで、費用も高くなる可能性があります。
雨漏りにつながる
コーキングのひび割れや外壁材の破損を放置すると、隙間から雨水が浸入して雨漏りが発生します。
被害は壁内の木部や断熱材、室内にまで広がり、住環境にも大きな悪影響を及ぼします。
雨漏りが起きると、屋根や外壁を含めた全面的な改修が必要になる場合もあります。
サイディング材自体が破損する
経年劣化を放置すると、サイディングそのものが割れたり剥がれたりといった物理的な破損が生じます。
劣化の状況によっては部分的な補修では対応できず、張り替えや重ね張りといった大掛かりな工事が必要になります。
修繕のタイミングを逃すことで、余計な費用がかかるケースも少なくありません。
サイディングのメンテナンスを検討すべき劣化のサイン
外壁の劣化は、早期の発見と対応がコストを抑えるうえで重要となります。
ここでは、費用をかけてでも対応すべき劣化のサインについて解説します。
チョーキング
チョーキングとは、外壁を手で触ったときに白い粉がつく現象のことです。
チョーキングは塗膜が劣化して顔料が表面に浮き出ている状態で、防水性が著しく低下しているサインです。
チョーキングの発生した外壁を放置すると、外壁材が雨水を吸収するため、外壁材そのものの劣化が急速に進んでしまいます。
カビ・汚れ・コケ
外壁の一部に発生している黒ずみや緑色の汚れは、カビやコケの可能性があります。
カビやコケなどは日当たりの悪い北側や湿気の多い場所で特に発生しやすく、美観だけでなく素材の劣化にもつながります。
洗浄や再塗装による対応が必要なこともあるため、早めの判断が重要です。
反りや浮き
サイディング材が波打ったように反っていたり、壁面から浮いていたりする場合は要注意です。
経年劣化や施工時の不備が原因で発生することが多く、隙間から雨水が浸入するリスクがあります。
症状が進むと、部分張り替えや全面修繕が必要になるケースもあります。
コーキングの劣化・ひび割れ
サイディングの継ぎ目に使われるコーキング材がひび割れたり、縮んで隙間ができたりしている場合も早めの補修が必要です。
劣化した目地から雨水が浸入し、壁内の構造材にダメージを与える恐れがあります。
小さなひび割れでも放置せず、早めに補修しておくことが建物を守るポイントです。
サイディングのひび・割れ
サイディング本体にひびや割れが見られたら、深刻な劣化のサインです。
ひびや割れの主な原因は、経年劣化や地震、寒冷地での凍結膨張などが考えられます。
ひびが浅い場合は補修で対応できますが、深刻な場合は張り替えが必要になることもあります。
サイディングの種類と特徴
サイディングには主に「窯業系」「金属系」「木質系」「樹脂系」の4種類があり、それぞれメリット・デメリットが存在します。
窯業系はセメントが主成分で国内シェアが高く、デザイン性に優れますが、防水性が塗膜に依存するため定期的な塗装が必要です。
金属系は軽量で耐震性に優れ、重ね張りにも適していますが、サビが発生しやすい点に注意が必要です。
木質系は自然な風合いが魅力ですが、吸水性が高くメンテナンスの手間がかかります。
樹脂系は耐久性・耐水性に優れていますが、熱に弱く、日本ではまだ普及率が低めです。
適切な費用をかけてサイディングのメンテナンスをしよう
サイディング外壁を美しい状態に保つには、定期的な点検と適切なタイミングでのメンテナンスが欠かせません。
「まだ大丈夫だろう」と放置してしまうと、かえって大きな修繕費が必要になるケースもあります。
劣化のサインを見逃さず、外壁塗装やコーキングの補修、必要に応じた張り替えなどを早めに行うことが、建物全体を守る最善の方法です。
費用をかけるべきポイントを見極め、信頼できる業者に相談しながら、後悔のない外壁メンテナンスを行いましょう。